古代ローマとチーズ
現時点では、ヨーロッパで最初にチーズ作りを始めたのはイタリアだと考えられています。紀元前1000年頃、イタリア半島の先住民族であるエトルリア人によって、北イタリアにチーズ作りが伝えられたのです。現在でも作られており、イタリアチーズの王様との異名もあるパルミジャーノ・レッジャーノなどの原型が、この頃にはすでにありました。
そして、ヨーロッパでイタリアに次いで長いチーズの歴史を持っているのがフランスで、これはローマ帝国と大きく関係しています。すでにチーズのノウハウを持っていたローマ帝国によって、フランスにもチーズの文化が伝えられました。ローマの文化は様々な地域に伝わり、イタリアやフランス以外でもチーズ作りが始められたのです。
修道院から家庭、そして大量生産
しかし、ローマ帝国が滅びてからはチーズの歴史は停滞し、修道院によりチーズが作られる程度にまで勢いをなくします。ローマ帝国の崩壊によりヨーロッパのチーズの歴史には悪影響が出ましたが、一方でこの時期にはチーズの多様性が広がり、その土地ならではの独自性を持ったチーズが続々と出てきました。しかし、中世の時代の時点ではチーズは農民が食べるものであり、社会的な地位を築くまでにはいたっていません。次第に、チーズ作りの主体は修道院から各家庭に移っていき、一昔前まではチーズ作りは主婦の仕事の1つだったのです。現代のようなチーズの大量生産が始まったのは1860年頃からであり、さほど昔の話ではありません。